文書の表示以前のリビジョンバックリンク文書の先頭へ この文書は読取専用です。文書のソースを閲覧することは可能ですが、変更はできません。もし変更したい場合は管理者に連絡してください。 {{svg:pen-ayame.svg? 45&nolink}} ==== こころのはじまり ==== {{svg:lightbulb-ayame2.svg? 24&nolink}} <color #f4b3c2>心理学の歴史を学ぶ意義</color> {{svg:book-sakura.svg? 16&nolink}} 心理学の歴史は心理学の観光ガイドブックのようなもの ガイドブックを持たずに外国に出かけても面白くないと同様に、学問においても背景を知らないとその面白さは理解出来ない この章の内容を念頭に置きながら各章を読み進めることが望ましい 心理学全体についてひととおり学んだ後で、この章を読み返すとまた違った世界が開けてくるだろう {{svg:book-sakura.svg? 16&nolink}} 心理学とは、人の__感じる__こと、__考える__こと、__行う__ことに関する学問 さまざまな分野があり、さまざまなアプローチがある 最終的には__人間とはどのような存在であるのか__という問に答えることを大きな目的のひとつとしている この問は、随分昔から議論されてきたものである {{svg:lightbulb-ayame2.svg? 24&nolink}} <color #f4b3c2>身体と霊魂</color> 現代の種の分類では、ヒトは動物の一種に分類されている 動物というのは、生物の中で植物に対する概念 古代ギリシャの哲学者__アリストテレス__(384-322B.C)は、__感覚__と__運動能力__があるかないかで、植物と動物を分けている 18世紀の生物学者 C.リンネ(1707-78)も、感覚と移動能力で、植物界と動物界を分けている <color #bce2e8>感覚と運動能力がヒト(動物)にとって重要なようである</color> {{svg:book-open-ayame.svg? 24&nolink}} <color #cc7eb1>生きるということ</color> Animal(動物)ということばは、ラテン語の「生命・霊魂」表す __Anima__ を語源としている 昔の人々は、ヒトを含めた動物には霊魂や生気が存在し、それが身体を動かしている原動力であると考えていた 生気が脱けると、動物は死んでしまうと考えていた Anima にあたらすギリシャ語が、心理学(__Psychology__)の語源にもなっている __Psyche__ Anima も Pxyche もどちらも「息」という意味 息をすることが生命の本質と考えられてきた <color #bce2e8>日本語の「生きる」という言葉も、息から派生した言葉</color> {{svg:book-open-ayame.svg? 24&nolink}} <color #cc7eb1>魂の哲学</color> ギリシャの哲学者・ソクラテス(469B.C.頃-399B.C.)は、人間の魂を考察の対象とした それ以前の哲学者は、自然を主な考察な対象としていたことから、ソクラテスは心理学の祖と呼ぶこともできる ソクラテスの弟子プラトン(427B.C.-347B.C.)も、見たり触れたりする世界とは別に、直接知覚できない理想の世界(イデア界)があるとした ヒトの魂は、肉体と独立してイデア界に存在すると主張・・・広義の__物心二元論__と呼ばれる 物体(身体)と独立して「__こころ__」が存在すると仮定している点が重要 プラトンは身体と心を異なるものと捉えたが、万学の祖と呼ばれるアリストテレスは、身体と心を一元的に捉える立場を取った <color #ffec47>身体なしには心は存在なし得ない</color> アリストテレスの考え方は、心的機能を身体の特定部位と結びつけた(局在させた)点が画期的と言える アリストテレスの考えで注意すべき点 - 感覚の統合といった心的作用は心臓で行われている - 理性に関しては、神から与えられた能力とし、身体器官との関係は無い {{svg:lightbulb-geppaku2.svg? 24&nolink}} <color #f4b3c2>古代の性格診断</color> 人間の性質について考察した重要な学者 * ヒポクラテス(460B.C.頃〜370B.C.) * ガレノス(129頃〜200頃) 医者の立場から、人間の気質(性質)がどのような要素に由来するかについて理論を立てた 現在では否定されているものの、およそ 2000年間信じられてきた {{svg:book-open-geppaku.svg? 24&nolink}} <color #cc7eb1>体液占い</color> ヒポクラテスが四体液説唱え、ガレノスがその理論を発展させた * ヒトの体内に流れる 4種類の体液の調和が崩れることによって心身の病気が誘発されるという理論 * 生まれつきどの体液成分が多いかによってヒトの気質が決まるという理論に発展 性格理論は、__こころをさまざまな要素に分類し、身体特性と対応付けた__点に意義がある この考えを基礎にして、こころの問題と生理学的な要素が徐々に結びついていく {{svg:lightbulb-geppaku2.svg? 24&nolink}} <color #f4b3c2>こころの在りか</color> ギリシャ・ローマの哲学者たちは、こころの在りかについてそれぞれ意見を述べている ヒポクラテス、プラトン、ガレノスは、ヒトの心(霊魂)は脳髄にあるという考えを持っていた * ヒポクラテスはてんかんが脳髄の不具合と考えた * ガレノスは脳室と呼ばれる脳の中の空洞部分に精神の気がたまるとしていた * アリストテレスは脳を血液の冷却機関と見なし、精神の座は心臓にあるという説を唱えた 一般的にはアリストテレスの理論が 18世紀まで信じられることになる ラテン語、英語、日本語などさまざまな言語において、こころを指す言葉と心臓を指す言葉に重複が見られる アリストテレスの理論は、一般に広く受け入れられていたと考えられる {{svg:lightbulb-sakura2.svg? 24&nolink}} <color #f4b3c2>氏か育ちか</color> * 「氏か育ちか」は**二項対立ではなく連続体(スペクトラム)**と捉えるのが現代的見解。 * 遺伝(氏)は環境(育ち)の中で熟成され、両者は分離不能な相互関係にある。 * 発達心理学は「後天的発達=育ち」を重視するが、生物学的基盤は不可欠である。 * 哲学的は「氏」、心理学の発展は「育ち」という構図も可能。 * 結局は「何が、どのような条件下で、どれくらい影響するか」という柔軟な思考が必要。 {{svg:book-open-ayame.svg? 24&nolink}} <color #cc7eb1>我思う故に我あり</color> * 歴史的には合理論が誕生し、次いで経験論に移った 合理論は、理性の基礎が経験に先立って存在し、そこから様々な知識を導くことが可能であるという理論 デカルトは、主観的な解釈や獲得された能力を排除すると考えるという行為が残ることに気づいた * 考える行為がすべての出発点になっていると仮定 * 考える行為は生まれつき備わった人間の機能と考えた デカルトは精神と身体が相互作用すること、松果体がそれを司ると主張 {{svg:book-open-ayame.svg? 24&nolink}} <color #cc7eb1>タブラ・ラサ</color> 経験論は、何も無い状態からスタートし、経験によって様々な知識体系が形作られると考える J.ロックが『人間知性論』で述べたタブラ・ラサ(白紙)という概念に代表される * 経験論に由来する心理学を連合主義と呼ぶ * 連合主義心理学では、経験が観念を形作る * 観念同士の連合が生じると、さらに複雑なものを考えることができる ヒトの感覚経験や意識経験を重視することになり、後の心理学での思想的基盤となった ---- <color #eaf4fc>{{fa>mail-reply?16}} [[intoro:history:index.html|Home]]</color>